受賞掲載メディア media

アトリエ マリコ2014年 12月 ”つくりびと” 掲載

各市立美術館に配布のフリーペーパー誌〝つくりびと”に
  注目の現代アーティストとして掲載 面谷哲郎氏の評論を戴く

生きる意欲をかきたてられる神秘的な存在

評論=面谷哲郎

どこか生身の人間を超える神秘的な印象を漂わせる、若い女性が光を浴びて浮かび上がっている。
眼差しは広い世界をみはるかすようだ。女神か妖精か。身にまとった布が柔らかい風を受けてなびくように、美しく揺らめいている。
その繊細な表出が奏でるリズム感が、布の合間に覗くのびやかな腕と響き合って、清新な生気を匂い立たせてくれる。

女性像は縦長の短形のなかに立つ。短形は一見、女性にそぐわないような土塊めいたもので縁取られる・短形の内もまた、土の匂いがする彩り。
それが表題に重なり、女性が神性をおびた大地の象徴と見えてくる。
そう、これは人々の営為に恵みをもたらし、稔り豊かな大地をことほぐ存在なのだ。
画面手前の花ともども、その姿が巧みな表現力で背景に際立ち、静謐な空間の奥に潜む劇的な力を想像させる。
観る者は端正な女性像に心を癒やされつつ、その生気を受けて生きる意欲をかきたれられるに相違ない。